美容皮膚科と皮膚科、保険診療と自由診療の仕組みの違い


肌の悩みがあるとき、「皮膚科に行くべきか、美容皮膚科に行くべきか?」迷うことがありますよね。

この選択は、単にクリニックの種類を選ぶだけでなく、**「保険診療」と「自由診療」**という、医療費の仕組みの根本的な違いを理解することにもつながります。

今回は、美容皮膚科と皮膚科、そして保険診療と自由診療の仕組みを紐解き、あなたの肌悩みに合わせてどちらを選ぶべきか、その判断基準を解説します。


1. そもそも何が違う?皮膚科と美容皮膚科

両者はどちらも医師免許を持つ「皮膚の専門家」ですが、その治療目的が大きく異なります。

皮膚科美容皮膚科
治療目的病気や疾患の治療美しさの追求
主な対象アトピー、ニキビ、蕁麻疹、水虫などシミ、シワ、たるみ、ニキビ跡、毛穴など
主な治療内服薬、外用薬、手術レーザー、注射、ピーリングなど
  • 皮膚科医:

    皮膚に現れる病気の原因を特定し、治すことを目的としています。

    例えば、ニキビは「尋常性ざ瘡」という皮膚疾患として、保険診療の対象となります。

  • 美容皮膚科医:

    病気ではないけれど、見た目の美しさを改善したいという悩みに応えます。

    例えば、シミやニキビ跡の凹みは、病気ではないため、自由診療となります。


2. 医療費の仕組み:保険診療と自由診療

皮膚科と美容皮膚科の違いは、この「保険診療」と「自由診療」のどちらを主に行うか、という点に直結します。

【保険診療】

  • 仕組み:

    日本の公的医療保険制度に基づいた診療。

    患者は医療費の原則3割(年齢や所得により異なる)を負担します。

    残りの7割は、健康保険組合や国が負担します。

  • 特徴:

    • 費用が安い:

      患者の負担が少なく、安心して医療を受けられます。

    • 治療法が限定される:

      国が定めた、安全性が確立された治療法や薬剤しか使えません。

      全国どの病院でも同じ病気であれば、ほぼ同じ治療を受けられます。

【自由診療】

  • 仕組み:

    公的医療保険が適用されない診療。

    患者は医療費の全額(10割)を自己負担します。

  • 特徴:

    • 費用が高額になる:

      医療機関が独自に料金を設定できるため、治療費が高額になることがあります。

    • 治療の選択肢が広い:

      保険診療では認められていない、最新の医療機器や薬剤、治療法を選択できます。

      患者の希望に合わせた、より質の高い治療が可能です。


3. どちらを選ぶべき?判断のポイント

あなたの肌悩みが、以下のどちらに当てはまるかで判断しましょう。

  • 「病気」を治したい → 皮膚科(保険診療)

    赤み、かゆみ、炎症、痛みなどの症状がある場合は、まず皮膚科を受診しましょう。根本的な病気を治療することが最優先です。

    例: 重度のニキビ、アトピー、かぶれ、イボなど。

  • 「美」を追求したい → 美容皮膚科(自由診療)

    病気ではないけれど、見た目をよりきれいにしたい、という場合は美容皮膚科が適しています。

    例: シミやシワの除去、たるみ、毛穴の開き、ニキビ跡など。

ただし、重度のニキビのように、病気としての治療(皮膚科)を終えた後、ニキビ跡の改善(美容皮膚科)へ移行するというように、両方を併用するケースもあります。

まとめ

美容皮膚科と皮膚科は、資格は同じでも、得意分野が異なります。

そして、その違いは「保険診療」と「自由診療」という、治療目的と費用負担の仕組みに直結しています。

あなたの肌悩みが「治療」を必要とするのか、「美容」を目的とするのかを明確にすることが、適切な医療機関を選び、納得のいく治療を受けるための第一歩となります。