美容皮膚科と皮膚科における漢方薬の使い方の違い
「ニキビに漢方薬が良いって聞いたけど、どこに行けばいいの?」「皮膚科でもらえる漢方薬って、美容目的でも効果ある?」
東洋医学の知恵が詰まった漢方薬は、体の内側から不調を整えることで、皮膚トラブルの根本的な改善を目指します。しかし、同じ漢方薬でも、保険診療の「皮膚科」と自由診療の「美容皮膚科」では、その使い方や目的に明確な違いがあります。
今回は、それぞれの医療機関が漢方薬をどのように活用しているのか、その違いと選び方のポイントを解説します。
1. 保険診療の「皮膚科」における漢方薬の使い方
皮膚科は、病気の治療を目的とした医療機関です。漢方薬も、西洋薬と同様に、病気の症状を改善するための治療法の一つとして処方されます。
主な目的:皮膚疾患の治療
皮膚科で処方される漢方薬は、以下のような特定の皮膚疾患に対して、症状の緩和や体質改善を目的に使用されます。
アトピー性皮膚炎: 体の熱を取り除く漢方や、皮膚の炎症を抑える漢方などが使われます。
慢性的なニキビ: 体質的なニキビの原因(ホルモンバランスの乱れ、便秘など)を根本から改善する漢方が処方されることがあります。
湿疹・かゆみ: 湿疹のかゆみや赤みを鎮める漢方、体内の水分バランスを整える漢方などが使われます。
処方の特徴
保険適用: 健康保険が適用されるため、比較的安価で漢方薬を処方してもらえます。
病名に基づいた処方: 患者さんの訴える症状や検査結果から病名を特定し、その病名に合った漢方薬が処方されます。
2. 自由診療の「美容皮膚科」における漢方薬の使い方
美容皮膚科は、美肌や美容を目的とした医療機関です。漢方薬は、見た目の美しさを追求するために、体質改善や肌のコンディションを整える目的で使われます。
主な目的:美肌とアンチエイジング
美容皮膚科で処方される漢方薬は、病気として診断される前の段階や、美容目的で以下のような悩みに対応するために使用されます。
肌荒れ・くすみ: 血行を促進し、肌の代謝を上げる漢方や、体内の余分な熱を取り除く漢方などが使われます。
シミ・そばかす: 新陳代謝を促し、メラニン色素の排出を助ける漢方などが使われることがあります。
冷えによる肌トラブル: 冷えが原因の血行不良による肌荒れやクマの改善を目指す漢方が処方されることがあります。
処方の特徴
自由診療: 漢方薬の種類によっては保険適用外となり、費用は全額自己負担となります。
体質や美容目的に特化した処方: 美容皮膚科では、東洋医学の視点から患者さんの「証(体質)」を詳しく診察し、個人の肌悩みや体質に合わせたオーダーメイドの漢方薬を提案してくれることがあります。
3. まとめ:どう使い分けるべき?
漢方薬の力を借りたいとき、どこに行けばいいのでしょうか?
ニキビ、アトピー、湿疹などの「病気」を治したい場合
まずは保険診療の皮膚科を受診しましょう。保険が適用されるため費用を抑えられますし、医師が症状を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。
ニキビ跡、くすみ、肌の老化など「美容目的」で改善したい場合
美容皮膚科に相談してみるのも一つの選択肢です。自由診療のため費用はかかりますが、より個人の体質や美容の悩みに特化した漢方薬を試すことができます。
漢方薬は、即効性よりも継続的な効果が期待されるものです。どんな漢方薬を選ぶにしても、専門の医師に相談し、ご自身の体質や目的に合ったものを処方してもらうことが最も大切です。
どちらの医療機関を選ぶにしても、まずは医師に相談し、ご自身の悩みをしっかりと伝えることから始めてみましょう。