美容皮膚科と形成外科、どう違う? 知っておきたい専門分野の境目
美容皮膚科と形成外科。どちらも「美」に関わる診療科ですが、実はそのアプローチや専門分野は大きく異なります。
一言で言うと、**美容皮膚科は「皮膚の治療・美肌作り」**が専門なのに対し、**形成外科は「体の形や機能の再建・修復」**が専門です。
この違いを理解しておくと、自分の悩みに合わせて最適なクリニックを選べるようになりますよ。
1. 美容皮膚科の専門分野:「美肌」のプロフェッショナル
美容皮膚科は、皮膚の表面や内側からアプローチし、肌そのものの状態を美しくすることを目的としています。
主な治療対象: シミ、そばかす、ニキビ、ニキビ跡、毛穴の開き、くすみ、たるみ、しわ、医療脱毛、ホクロ・いぼの除去など。
主な治療方法:
メスを使わない施術: レーザー治療、光治療(IPL)、ケミカルピーリング、イオン導入、高周波(RF)、超音波(HIFU)など。
注入治療: ヒアルロン酸注入、ボトックス注射など。
医薬品の処方: 内服薬や塗り薬など。
美容皮膚科の医師は、皮膚の構造やメカニズムを熟知しており、メスを使わずに肌の悩みを改善するスペシャリストです。肌の根本的な治療から美肌ケアまで、幅広いニーズに応えてくれます。
2. 形成外科の専門分野:「形」を整える外科手術のプロ
形成外科は、体表面の形や機能の異常を「外科的な手法(メス)」を使って治療することを専門としています。
主な治療対象:
病気や怪我の治療: やけど、傷跡、皮膚腫瘍(良性・悪性)、顔面骨折、生まれつきの体の変形(口唇裂、口蓋裂など)。
再建手術: 乳がん手術後の乳房再建など、失われた体の部位を再建する手術。
美容外科分野(形成外科の一部):
手術: 二重まぶたの切開手術、鼻を高くする手術、脂肪吸引、フェイスリフトなど。
注入治療: ボトックス注射、ヒアルロン酸注入なども行います。
形成外科の医師は、皮膚だけでなく、皮下組織、筋肉、骨、神経、血管など、体表面のあらゆる構造に精通しており、傷跡をできる限り目立たなくする技術を持っています。
どこで区別する?具体的な治療例で比較
両方の科で施術内容が重なることもありますが、その目的やアプローチに違いがあります。
ホクロ・いぼの治療:
美容皮膚科: 主にレーザーで焼くことで、メスを使わずに除去します。
形成外科: メスで切除し、縫合します。再発のリスクが低く、病理検査ができるメリットがあります。
たるみ治療:
美容皮膚科: HIFU(ハイフ)やレーザー、糸リフトなど、メスを使わない方法でリフトアップを目指します。
形成外科: フェイスリフト手術など、メスを使って根本的にたるみを引き上げます。
ニキビ跡・クレーター:
美容皮膚科: レーザー治療やピーリングなどで、肌の凹凸を滑らかにしていきます。
形成外科: 切除縫合手術などで、クレーターをなくす治療を行う場合があります。
まとめ:賢いクリニック選びのポイント
比較ポイント | 美容皮膚科 | 形成外科 |
専門分野 | 美肌治療、スキンケア | 形の再建、修復 |
主な治療 | レーザー、注入、ピーリング | メスを使った外科手術 |
悩み例 | シミ、くすみ、毛穴、ニキビ跡 | 傷跡、顔の骨格、二重手術 |
アプローチ | 非侵襲的(メスを使わない) | 外科的(メスを使う) |
もしあなたが「シミやニキビ跡を治して、肌をきれいにしたい」と考えているなら美容皮膚科、「コンプレックスのある顔の形を変えたい」「傷跡をきれいに治したい」と考えているなら、形成外科や、形成外科の専門医がいる美容外科を選ぶのが良いでしょう。
クリニックによっては、美容皮膚科と形成外科の両方を標榜しているところもあります。その場合は、カウンセリングで自分の悩みを詳しく相談し、最適な治療法を提案してもらうのが一番です。