美容皮膚科と皮膚科の医師の研修の違い|知っておきたいポイント解説
「美容皮膚科と皮膚科って同じ“皮膚の専門医”じゃないの?」と疑問に思ったことはありませんか。実際には、両者は医師としての研修内容や専門性に大きな違いがあります。ここでは、医師のキャリアパスや学び方に焦点をあて、一般の皮膚科と美容皮膚科の研修の違いをわかりやすく解説します。
1. 共通するスタートライン:医学部卒業と初期研修
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医学部を卒業した後、医師国家試験に合格すると「医師免許」を取得。
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その後、2年間の初期臨床研修が義務付けられています。
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この期間は、内科・外科・小児科・産婦人科など幅広い診療科をローテーションし、基本的な臨床スキルを習得します。
➡ この時点までは、皮膚科志望・美容皮膚科志望どちらの医師も同じ道を歩みます。
2. 皮膚科医の研修内容
皮膚科を専門にする場合は、初期研修の後、皮膚科専門医研修プログラムに進みます。
主な学び・研修内容
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皮膚疾患全般の診断と治療(湿疹、アトピー、乾癬、皮膚感染症など)
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皮膚腫瘍や皮膚がんの診断と外科的治療
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皮膚病理や顕微鏡診断の技術
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アレルギー学、免疫学など基礎医学の知識
特徴
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保険診療が中心
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学会の専門医資格(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医)を取得するために、5年以上の研修と症例経験が求められる
3. 美容皮膚科医の研修内容
美容皮膚科は、皮膚科専門医と違い、必ずしも学会認定の専門医研修を受ける必要はありません。
主な学び・スキル
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レーザー治療、ヒアルロン酸注入、ボトックスなど美容医療技術
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シミ、しわ、たるみ改善といったアンチエイジング治療
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医療脱毛や美肌治療の機器操作
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美容外科との連携知識
特徴
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保険適用外の自由診療が中心
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学会認定必須ではないため、内科や他科出身の医師が美容皮膚科に転向するケースもある
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クリニック勤務でOJT(院内研修)を受けて技術を身につけることが多い
4. 研修の違いをまとめると
項目 | 皮膚科 | 美容皮膚科 |
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専門研修 | 日本皮膚科学会の専門医研修プログラム | 必須ではない(クリニック研修中心) |
診療内容 | 皮膚疾患の診断・治療(保険診療) | 美容医療(自由診療) |
学ぶ内容 | 皮膚病理、免疫、腫瘍学、外科 | レーザー、注入、アンチエイジング |
キャリアパス | 専門医資格取得に5年以上 | 医師免許後すぐ転向も可能 |
患者ニーズ | 皮膚病を治したい | 見た目を美しくしたい |
5. まとめ
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皮膚科医は「皮膚病の診断と治療の専門家」であり、長期的な専門医研修が必要。
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美容皮膚科医は「美容医療の施術者」であり、必ずしも皮膚科専門医ではなくても働ける。
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そのため、美容皮膚科を選ぶ際には「医師の専門資格・経験」「使用機器の安全性」を確認することが大切です。