専門家が解説!美容皮膚科と皮膚科の広告表示、何が違う?
「ニキビを治したいけど、美容皮膚科と皮膚科、どっちに行けばいいの?」「クリニックの広告を見ても、違いがよくわからない…」そう感じたことはありませんか?
私たちの生活に身近な皮膚科ですが、「保険診療」を主とする皮膚科と、「自由診療」を主とする美容皮膚科では、法律で定められた広告表示のルールが大きく異なります。この違いを理解しておかないと、クリニック選びで後悔してしまうかもしれません。
今回は、美容医療と一般医療の専門家が、両者の広告表示の違いを徹底的に解説します。この情報を知ることで、あなたは自分に合ったクリニックを賢く選び、納得のいく治療を受けることができるでしょう。
1. 広告表示のルールを定める「医療法」とは?
医療機関の広告は、国民が適切な医療を選択できるよう、虚偽や誇大広告を禁止する**「医療法」**によって厳しく規制されています。この医療法は、2018年の改正で美容医療への規制を強化し、患者さんの不利益を防ぐ目的でさらに厳しくなりました。
この医療法が、皮膚科と美容皮膚科の広告に大きな違いを生み出しているのです。
2. 皮膚科(保険診療)の広告表示
一般的な皮膚科は、ニキビやアトピー、湿疹、イボなど、病気の治療を目的とした保険診療が中心です。
表示できる内容が限定的:
医療法によって、表示できる内容は非常に限定的です。
例: 診療科名(皮膚科)、医師名、病院の住所や電話番号、診療時間、入院施設の有無など。
治療内容の表示は原則禁止:
具体的な治療内容や、治療方法に関する広告は原則として禁止されています。
例:「〇〇治療でニキビを根本から治す!」といった表現は広告では使えません。
治療前後の写真(ビフォーアフター)はNG:
医療広告ガイドラインにより、治療効果を強調するようなビフォーアフターの写真表示は禁止されています。
3. 美容皮膚科(自由診療)の広告表示
美容皮膚科は、美肌治療やたるみ改善、脱毛など、容姿を美しくすることを目的とした自由診療が中心です。
一部で広告表現が緩和される:
自由診療は患者さんが自費で治療を受けるため、より多くの情報を求める傾向にあります。そのため、美容皮膚科では、医療法によって定められた範囲内で、具体的な治療内容や料金などを表示することが許可されています。
ビフォーアフター写真の表示が許可される条件:
美容皮膚科では、以下の条件を満たせば、治療前後の写真を広告として使用できます。
患者さんの同意を得ていること。
治療内容や費用、期間、リスク、副作用を明確に記載していること。
比較対象となる写真と同一の条件で撮影していること。
修正・加工を行っていないこと。
誇大な広告表現はNG:
「100%ニキビが治る!」「絶対リバウンドしない!」といった、事実と異なる虚偽・誇大な表現は禁止されています。
また、「〇〇でトップクラスの実績!」といった、根拠のない比較表現も禁止です。
まとめ:広告表示の違いを理解して賢くクリニックを選ぶ
皮膚科(保険診療) | 美容皮膚科(自由診療) | |
主な目的 | 病気の治療 | 容姿を美しくすること |
広告の表示 | 診療科名や基本情報のみ | 治療内容や料金も表示可能 |
ビフォーアフター | 禁止 | 条件を満たせば表示可能 |
料金 | 保険適用 | 全額自己負担 |
美容皮膚科の広告は、一見すると派手で魅力的に見えるかもしれません。しかし、そこには必ず**「リスク・副作用」**の記載が義務付けられています。
もしあなたが、ニキビや肌荒れといった「病気」を治したいのであれば、まずは保険診療を扱う皮膚科を受診するのがおすすめです。
一方、「もっと肌をきれいにしたい」「たるみを改善したい」といった美容目的であれば、美容皮膚科が選択肢になります。その際は、広告に記載されている料金やリスク、副作用をしっかり確認し、納得した上でカウンセリングを受けるようにしましょう。
広告に惑わされず、正しい知識で自分に合ったクリニックを見つけることが、美しさへの第一歩です。