美容皮膚科と皮膚科の同意書の違い


医療現場では、治療や施術を受ける前に患者が内容を理解し、納得した上で署名する「同意書(インフォームドコンセント)」が重要です。
しかし、**皮膚科(一般診療)美容皮膚科(自由診療中心)**では、その目的や内容に大きな違いがあります。


1. 皮膚科(一般皮膚科)の同意書

特徴

  • 保険診療が中心で、病気の治療を目的とする。

  • 診療行為は標準的なガイドラインに基づくため、同意書が必要なケースは限られている。

同意書が用いられる主な場面

  • 手術や侵襲的処置

    • 皮膚腫瘍の切除、皮膚生検、皮膚移植など。

  • リスクを伴う治療

    • 紫外線治療(光線療法)、免疫抑制剤の投与など。

  • 副作用が強い薬の使用

    • 抗がん剤、免疫抑制薬、生物学的製剤など。

👉 内容は「治療目的・方法・副作用・代替手段の有無」を簡潔に記載。
👉 多くの外来治療(湿疹やニキビ治療、薬の処方など)では同意書は不要。


2. 美容皮膚科の同意書

特徴

  • 自由診療が中心で、「見た目を良くする」ことが目的。

  • 法律上は必須ではないが、トラブル防止のため詳細な同意書が重視される。

同意書に含まれる内容

  • 施術内容の具体的説明

    • レーザー、注射、ピーリング、脱毛など。

  • 効果の個人差

    • 「必ず効果があるとは限らない」ことを明記。

  • 副作用や合併症

    • 火傷、色素沈着、腫れ、感染、神経障害など。

  • 仕上がりに関する注意

    • 「理想通りの結果にならない可能性」

    • 「左右差や一時的な違和感が出る可能性」

  • 費用・返金の取り扱い

    • コース途中解約の可否、返金条件、再施術の有無。

👉 美容皮膚科では訴訟やクレームを避けるために、リスクや限界を細かく説明し、患者の署名を得ることが必須


3. 両者の違いを整理

  • 皮膚科(一般診療)

    • 同意書が必要なのは「外科的処置」や「リスクの高い治療」のみ。

    • 書面は比較的シンプルで、医療的な説明が中心。

  • 美容皮膚科

    • 多くの施術で同意書が必要。

    • 内容は詳細で、効果の限界・リスク・費用・返金制度などを明記。

    • 医療事故やトラブル防止のため、証拠となる役割が大きい。


4. 患者が確認すべきポイント

  1. 皮膚科の場合

    • リスクが高い治療や外科的処置では必ず内容を理解して署名する。

    • 不明点は事前に質問し、理解してから署名。

  2. 美容皮膚科の場合

    • 効果や仕上がりに保証がないことを前提に確認。

    • 返金・キャンセル規定を必ず読む。

    • 署名前に「写真撮影・施術後の経過観察」についても確認。


💡まとめると、

  • 皮膚科の同意書は「医療行為に伴うリスク説明」が中心で必要場面は限定的。

  • 美容皮膚科の同意書は「仕上がり・効果・費用トラブル防止」のため非常に詳細。