単式簿記とは?複式簿記との違いやメリット・デメリットを分かりやすく解説!
「新しく個人事業を始めたけれど、帳簿のつけ方がよく分からない…」
「単式簿記って聞いたことはあるけれど、自分に向いているのかな?」
新しくビジネスを始めたり、確定申告の準備を進めたりする中で、お金の管理方法について悩む方はとても多いものです。専門用語が多くて、難しそうに感じてしまいますよね。
帳簿の作成は、ビジネスの状況を正しく把握し、税金の申告をスムーズに行うための大切な第一歩です。その中でも、初心者にとって比較的ハードルが低いと言われているのが「単式簿記(たんしきぼき)」です。
この記事では、単式簿記の基本的な仕組みから、よく比較される複式簿記との具体的な違い、それぞれのメリット・デメリットまで、専門知識がなくてもスムーズに理解できるように分かりやすく解説します。ご自身の状況に合った最適な帳簿のつけ方を見つけていきましょう!
単式簿記の基本!仕組みと特徴
単式簿記とは、一言でいうと「お金の出入りを1つの勘定科目(項目)に注目して記録するシンプルな方法」です。
身近な例でいうと、みなさんが一度は使ったことがある「家計簿」や「お小遣い帳」、銀行の「通帳」などをイメージすると非常に分かりやすいでしょう。
具体的な記録のイメージ
例えば、「1,500円の事務用品を現金で買った」という取引があったとします。このとき、単式簿記では以下のように記録します。
日付:〇月〇日
項目(勘定科目):消耗品費
金額:1,500円(支出)
このように、「何にいくら使ったのか」「何でいくら収入があったのか」という1つの側面だけを追いかけていくのが特徴です。主に現金の動きを中心に記録していくため、特別なルールを丸暗記しなくても、見ただけで直感的に理解できるのが大きな強みです。
単式簿記と複式簿記の4つの違い
帳簿のつけ方を調べていると、必ず「複式簿記(ふくしきぼき)」という言葉を目にすると思います。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
主な違いを4つの視点から比較してみましょう。
1. 記録する側面の数(単一か複数か)
単式簿記:先ほどお伝えした通り、お金の動きを「1つ」の側面から記録します。
複式簿記:1つの取引に対して「原因」と「結果」という「2つ」の側面から記録します。
先ほどの「1,500円の事務用品を現金で買った」という例を複式簿記で表すと、「消耗品費という費用が発生した(原因)」と「現金が1,500円減った(結果)」という両方の事実を同時に記録することになります。
2. 借方・貸方の概念の有無
単式簿記:左側(借方)や右側(貸方)といった、簿記独特の複雑な配置ルールはありません。上から順番に日付と金額を書いていくだけです。
複式簿記:すべての取引を「借方(かりかた・左側)」と「貸方(かしかた・右側)」に振り分けて記録するルール(仕訳)があります。
3. 作成できる財務諸表の種類
単式簿記:主に「いくら儲かったか(あるいは損したか)」という一定期間の経営成績を表す損益計算書に近い情報を作ることができます。
複式簿記:損益計算書に加えて、「今どれくらいの財産や借金があるのか」という財政状態を表す貸借対照表を正確に作成することができます。
4. 確定申告における優遇措置の差
単式簿記:個人事業主が青色申告を行う場合、最大10万円の控除(税金を安くできる仕組み)を受けることができます。
複式簿記:一定の要件を満たして複式簿記で帳簿をつけると、最大55万円または65万円という、より大きな青色申告特別控除を受けることが可能です。
単式簿記を選ぶメリット
シンプルさが魅力の単式簿記ですが、具体的にどのような利点があるのかを見ていきましょう。
知識がなくてもすぐに始められる
最大のメリットは、簿記の資格や専門的な知識を持っていなくても、すぐに帳簿づけを始められる点です。家計簿をつける感覚でスタートできるため、帳簿作成にかかる時間や精神的な負担を大きく減らすことができます。
記載ミスや勘違いが起きにくい
複雑な仕訳ルールがないため、「左右のどちらに書けばいいのか分からない」「計算が合わなくて悩む」といったトラブルがほとんど起こりません。お金の出入りをそのまま書くだけなので、初心者でも迷わず作業を進められます。
管理のためのコストや時間を節約できる
高度な会計ソフトを導入しなくても、手書きのノートや表計算ソフト(Excelなど)を利用して十分に管理が可能です。日々の事務作業に追われることなく、本業のビジネスにしっかりと集中できる時間を確保できます。
知っておきたい単式簿記のデメリット
一方で、単式簿記にはあらかじめ知っておくべき注意点やデメリットも存在します。
財産の全体像が見えにくい
単式簿記は「現金の出入り」を追うことには長けていますが、「現在、手元に残っている正確な売掛金(まだ回収していない代金)はいくらあるか」「未払いの経費や借入金はいくら残っているか」といった、全体的な資産や負債のバランスを把握するのが難しくなります。
税制上の大きな優遇(65万円控除など)が受けられない
個人事業主にとって非常に大きな節税メリットとなる「青色申告特別控除(最大55万円・65万円)」を受けるためには、複式簿記での帳簿づけが義務付けられています。単式簿記の場合は10万円の控除にとどまるため、ビジネスの規模が大きくなって利益が増えてくると、税金面で損をしてしまう可能性があります。
外部からの信用を得にくい傾向がある
将来的に銀行からビジネスのための資金を借り入れたり、融資を申し込んだりする場合、正確な「貸借対照表」の提出を求められることが一般的です。単式簿記ではこれらを作成できないため、外部の金融機関に対する証明力や社会的信用という点では、複式簿記よりも低く評価されることがあります。
単式簿記はどんな人におすすめ?
メリットとデメリットを踏まえると、単式簿記は以下のような方に最適です。
開業したばかりで、まずは手軽にスタートしたい方
副業としての収入があり、白色申告や10万円控除の青色申告を予定している方
取引の数が少なく、現金の動きだけでビジネスの流れがほぼ把握できる方
帳簿づけにかける時間や手間をできるだけ省き、本業に注力したい方
逆に、最初から本格的に事業を展開して大きな利益を見込んでいる方や、将来的に融資を検討している方は、最初から複式簿記(またはそれに対応した使いやすい会計ソフト)を選択するのが賢明と言えます。
まとめ:自分に合った帳簿のつけ方を選ぼう
単式簿記は、お金の動きをシンプルに記録できる非常に便利な方法です。家計簿感覚で手軽に始められるため、ビジネスの立ち上げ期や、規模の小さな事業運営において強力な味方になってくれます。
しかし、事業が成長して取引が複雑になったり、より高い節税効果を求めたくなったりした段階で、複式簿記へとステップアップしていくことも可能です。
大切なのは、ご自身の事業規模、割くことができる時間、そして将来の目標に合わせて、無理なく続けられる方法を選ぶことです。まずは日々の取引を正確に記録することから始めて、健全なビジネス運営の土台を作っていきましょう!