「機器の差」ではなく「場所の得意分野」がカギ!美容皮膚科と皮膚科で使われる脱毛機器の違い


「医療脱毛を受けたいけれど、皮膚科と美容皮膚科、どちらを選べばいいの?」「それぞれのクリニックで使っている脱毛機器に違いはあるの?」

医療機関で行う「医療脱毛」は、エステサロンの光脱毛(美容脱毛)と違い、高出力の医療用レーザー機器を使用するため、**永続的な脱毛効果(永久脱毛)**が期待できます。しかし、いざクリニック選びとなると、皮膚科、美容皮膚科、美容外科といった選択肢があり、迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、「美容皮膚科だからこの機器」「皮膚科だからこの機器」といった明確な線引きは、ほとんどありません。 どちらも医療機関であるため、同じ種類の高出力医療レーザー機器を使用でき、施術内容自体に大きな違いはありません。

しかし、クリニックの**「得意分野」や「設置されている機器の種類」**には違いがあり、それが結果的に、あなたの脱毛体験や仕上がりに影響を与えます。

このブログ記事では、皮膚科と美容皮膚科が使用する脱毛機器の共通点と、それぞれのクリニックがどのような機器を導入する傾向にあるのかを分かりやすく解説します。

1. 根本的な違いはない!どちらも「医療レーザー機器」を使用

皮膚科も美容皮膚科も、**医師または看護師が施術を行う「医療機関」**です。そのため、どちらも法律に基づいて、高い出力を持つ医療用レーザー脱毛機器を使用できます。

エステサロンの光脱毛器は、出力が弱く「一時的な抑毛・減毛」にとどまりますが、医療機関で使用される機器は**「発毛組織(毛乳頭・毛母細胞やバルジ領域)を破壊する」**ことができるため、確実な永久脱毛効果が期待できるのです。

共通して使われる3種類の主要レーザー

医療脱毛で主に使われるレーザーは、以下の3種類で、どのクリニックもこのうちの1種類以上を導入しています。

レーザーの種類波長(深さ)得意な毛質・肌質特徴
アレキサンドライト最も短い(浅い)濃くて太い毛(脇、VIO、すねなど)メラニンへの反応が最も強く、剛毛に高い効果。日本で最も普及。
ダイオード中間幅広い毛質・肌質(産毛、日焼け肌も対応可)熱破壊式と蓄熱式があり、様々な毛に対応。痛みが比較的マイルド。
ヤグ(YAG)最も長い(深い)根深い毛(男性のひげ、VIO、深い毛根)皮膚の奥深くまで届き、メラニン吸収が少ないため日焼け肌や色黒肌にも対応。痛みが最も強い傾向。

2. 「美容皮膚科」と「一般皮膚科」の機器選びの傾向

前述の通り、使用できる機器に規制上の違いはありませんが、クリニックの「メインの診療内容」によって、導入する機器のラインナップに傾向が見られます。

【美容皮膚科の傾向】

美容皮膚科は、脱毛を含めた美肌治療(シミ、しわ、たるみなど)を専門とするため、**「効率性」と「幅広い美容効果」**を重視した機器を導入する傾向があります。

  • 得意とする機器の傾向:

    • 複合機(2〜3種類のレーザーを搭載): 1台でアレキサンドライトとヤグなど複数のレーザーを切り替えられる機器(例:ジェントルマックスプロなど)を導入し、患者の肌質・毛質に合わせて柔軟に対応できる体制を整えていることが多いです。

    • ハイスピード機器: 照射スピードが速く、全身脱毛を短時間で終えられる機器を好みます。

    • 蓄熱式: 痛みに配慮し、産毛にも対応できる蓄熱式ダイオードレーザーを導入しているケースも増えています。

  • メリット: 脱毛だけでなく、**レーザーの副次的効果(美肌、毛穴の引き締めなど)**にも配慮した機器選びをしている場合が多く、美容的な仕上がりにこだわれます。

【一般皮膚科(脱毛対応)の傾向】

一般皮膚科は、皮膚疾患の治療(保険診療)をメインとしつつ、自費診療として脱毛を行っているケースが多いです。そのため、**「安全性」と「実績」**を重視した、信頼性の高い機器を導入する傾向があります。

  • 得意とする機器の傾向:

    • 単一波長、または歴史のある機器: 最初に厚生労働省の認可を受けたアレキサンドライトレーザー単体の機器など、長年の実績がある機器を導入している場合があります。

    • 肌トラブル対応を重視: 医療機関としての安全性が最優先されるため、肌トラブル時の対応ノウハウが蓄積しやすい、信頼性の高い機器を選びます。

  • メリット: 万が一、施術後に肌トラブルが発生した場合、皮膚科医が専門知識に基づき、迅速かつ適切な処置(処方箋発行など)を行えるという安心感があります。

3. 脱毛効果を最大化する「照射方式」の違い

機器のメーカー名やレーザーの種類だけでなく、レーザーを照射する方法も、効果と痛みに大きく影響します。

照射方式仕組み得意な毛質・特徴痛みと施術スピード
熱破壊式(ショット式)高出力レーザーを瞬時に照射し、毛母細胞・毛乳頭などの発毛組織を直接破壊濃く太い毛、根深い毛。短期間で効果を実感しやすい。痛みが強い(輪ゴムで弾かれたような痛み)。
蓄熱式(SHR式)低出力レーザーを連続で照射し、毛を育てる司令塔であるバルジ領域に熱をじわじわ蓄積して破壊。産毛、色黒肌、日焼け肌。痛みがマイルド。痛みが少ない(じんわり温かい程度)。施術時間が比較的短い。

【選び方のヒント】

  • 「剛毛を早く確実に抜きたい」熱破壊式が適しています。(VIO、ひげなど)

  • 「痛みに弱く、顔や産毛をケアしたい」蓄熱式が適しています。

まとめ:あなたの目的で選ぶ「最適なクリニック」

美容皮膚科と一般皮膚科の脱毛機器に「絶対的な違い」はありません。使用するレーザーの種類や照射方式は、**「クリニックがどの患者層・どの毛質をターゲットにしているか」**によって選択されています。

  • 美容皮膚科: 幅広い肌質・毛質に対応できる複合機や、美肌効果を考慮した機器が多く、美容的な観点からの仕上がりにこだわる方におすすめです。

  • 一般皮膚科: 肌トラブル時の対応に絶対的な安心感があり、肌への安全性を最優先したい方におすすめです。

医療脱毛を受ける際は、単に料金だけでなく、**「使用しているレーザーの種類と照射方式」「痛みへの配慮(冷却機能や麻酔の有無)」「万が一の肌トラブル時の医師の対応」**をしっかりと確認し、ご自身の肌と毛質に合った最適なクリニックを選びましょう!

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