皮膚科と美容皮膚科の「継続」に対する意識の違い:リピート率を左右する決定的な要因とは?


皮膚科と美容皮膚科は、どちらも患者さんが「また来たい」と思わせる努力をしていますが、その「リピート率(継続受診率)」の定義と、患者さんの継続意欲を支えるメカニズムには大きな違いがあります。

一般の皮膚科は「病気の完治」を目指すため、治療が成功すればリピートは終了します。一方、美容皮膚科は「美の維持」を目指すため、リピートが「成功」を意味します。

ここでは、両者のリピート率の違いとその背景にある患者さんの心理を、分かりやすく解説します。


1. 一般皮膚科:「病気の治癒」と「再発予防」がリピートの鍵

一般皮膚科における「リピート(継続受診)」は、主に病気の治療を完了させるため、あるいは慢性疾患の管理を目的としています。

🚨 治療目的の継続受診

皮膚科に通う患者さんの多くは、まず**「今ある症状を何とかしたい」**という強い動機で来院します。

  • 急性疾患の場合: 虫刺され、かぶれ、水虫など急性のトラブルの場合、症状が治癒すれば通院は終了します。この場合の「リピート」は、数カ月後や数年後に別の病気や再発で再来院することを示します。

    • 再来院率を高める要素: 医師の診断の速さ、処方薬の的確な効果、待ち時間の少なさ、そして「次に何かあったらここに来よう」と思える信頼関係です。

  • 慢性疾患の場合: アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬など、長期的な管理が必要な疾患を持つ患者さんは、**「症状を安定させ、再発を防ぐ」**ために定期的に継続受診(リピート)します。

    • 継続受診率を高める要素: 治療効果だけでなく、症状の波に対する医師の共感と寄り添い、長期的な見通し(ゴールの設定)の説明、そして季節ごとのスキンケア指導の充実が重要になります。

🔄 皮膚科のリピート率の特殊性

一般皮膚科では、「完治=卒業」であるため、リピート率が低いことこそが、医療として成功している証となる側面もあります。しかし、慢性疾患やニキビなどの治療においては、患者さんが自己判断で通院をやめてしまうことがリピート率低下の最大の敵となります。


2. 美容皮膚科:「美の維持」と「自己満足の追求」がリピートの源泉

美容皮膚科における「リピート(リピーター率)」は、治療効果に満足し、その効果を維持・向上させるため、あるいは次なる美の目標を追求するための、前向きな継続を意味します。

✨ 美容目的のリピーター心理

美容皮膚科の治療は自由診療であり、患者さんは「美」という付加価値に対して費用を払います。そのため、リピートする患者さんは以下の要因を重視します。

  1. 目に見える確かな効果(結果): シミが薄くなった、たるみが引き締まった、毛穴が目立たなくなったなど、**「費用に見合う変化」**を実感できた時、患者さんは次のステップに進もうとします。

  2. 効果の持続性: ボトックスやヒアルロン酸、ハイフなどの施術は、効果が時間とともに薄れるため、効果を維持するための定期的なメンテナンスとしてリピートが組み込まれます。

  3. モチベーションの維持: 医師やスタッフが患者さんの目標に共感し、「もっときれいになれる」という期待感を与え続けることで、次の施術への意欲(リピート意欲)が高まります。

📈 美容皮膚科のリピート率の構造

美容皮膚科のリピート率は、一般皮膚科に比べて高くなる傾向にあります。これは、患者さんのニーズが「治療完了」ではなく**「理想の追求と維持」**にあるためです。

  • 単発施術からの移行: 脱毛やシミ取りといった単発の施術で来院した患者さんが、効果に満足した後、さらに**「シワ」「たるみ」「ニキビ跡」**といった別の悩みに着手するためにリピートする、という流れが一般的です。

  • プラン化された継続: 多くのクリニックでは、ピーリングや光治療などを**「〇回コース」**として提供しており、治療自体がリピートを前提としたプランになっていることも、リピート率を高める要因です。


3. リピート率・継続受診率を左右する共通の「裏の要因」

目的は異なれど、患者さんが「またここに来たい」と思うクリニックには、共通する「非医療的な」要素が存在します。

🗣️ 相談しやすい「コミュニケーション」

  • 一般皮膚科: 忙しい中でも、患者さんの不安や疑問を丁寧に聞き、薬の塗り方、スキンケアの方法を分かりやすく指導してくれるかどうかが、患者さんの治療への納得感と継続性を高めます。

  • 美容皮膚科: 患者さんの漠然とした「きれいになりたい」という要望を具体的に引き出し、最適な治療プランとして提案するカウンセリング力が、リピート率に直結します。

⚖️ 「安心感」と「信頼感」の提供

  • 両者に共通: 痛みへの配慮清潔感のある設備、そして明朗な会計は、患者さんが安心して通い続けられるための大前提です。

  • 特に自由診療: 美容皮膚科では、費用が高額になりがちであるため、過剰な治療を勧めない誠実さと、施術後のダウンタイムや副作用について正直に説明する姿勢が、長期的な信頼関係(=リピート)を築きます。

まとめ:リピート率が示すクリニックの役割

種類リピートの主目的高リピート率が示すこと
皮膚科病気の完治再発予防慢性の肌トラブルに対する管理能力と信頼性
美容皮膚科美の維持理想の追求施術結果への高い満足度継続的な関係構築力

皮膚科は「困ったときに頼れる場所」として、美容皮膚科は「自分をより良くしてくれるパートナー」として、それぞれの患者さんのニーズに応えることで、リピート(継続受診)を勝ち取っているのです。