美容皮膚科と一般皮膚科で治せる疾患の境界線|症状別の選び方


肌トラブルや皮膚の悩みがあるとき、「美容皮膚科と皮膚科、どちらに行くべき?」と迷う方は少なくありません。両者は名称が似ていますが、治療目的や適応範囲に違いがあります。本記事では、美容皮膚科と一般皮膚科で治療できる疾患の境界線を症状別にわかりやすく解説します。


1. 一般皮膚科で治療する疾患

一般皮膚科は、医学的根拠に基づき健康保険が適用される治療を提供します。病気や炎症の治療が中心です。

主な疾患

  • ニキビ(炎症性)
    赤く腫れたり膿をもったニキビは皮膚科で内服薬・外用薬による治療が最適

  • 湿疹・アトピー性皮膚炎
    炎症やかゆみの抑制が目的

  • 皮膚感染症
    水虫、帯状疱疹、細菌感染など

  • 皮膚腫瘍・ほくろ・イボの診断と処置
    悪性か良性かの判断や切除

  • アレルギー反応・蕁麻疹
    原因特定と症状の改善

特徴

  • 健康保険が適用できる

  • 症状の根本治療が目的

  • 緊急性のある皮膚トラブルに対応可能


2. 美容皮膚科で治療する疾患

美容皮膚科は、見た目や美容改善を目的とした自由診療(自費)が中心です。

主な疾患・悩み

  • シミ・そばかす・くすみ
    レーザー治療や光治療で色素沈着を改善

  • しわ・たるみ・小ジワ
    ボトックス注射やヒアルロン酸注入で改善

  • ニキビ跡(色素沈着・凹凸)
    フラクショナルレーザーやケミカルピーリング

  • 毛穴・肌質改善
    美肌レーザー、イオン導入、ピーリング

  • 医療脱毛
    永久脱毛目的のレーザー施術

特徴

  • 自由診療で保険は適用されない

  • 美容・見た目改善が目的

  • 肌のエイジングケアやコンプレックス改善に特化


3. 美容皮膚科と皮膚科の境界線

症状・悩み 皮膚科での治療 美容皮膚科での治療
炎症性ニキビ 内服薬・外用薬 治療不可(炎症の根本治療は保険適用)
ニキビ跡 軽度は皮膚科で保険治療可 色素沈着・凹凸に対してレーザーやピーリング
シミ・そばかす 医療的に問題がある場合のみ皮膚科で診断 美容目的で除去や薄くする治療
しわ・たるみ 治療不可 注入治療やレーザー治療で改善可能
皮膚感染症 診断・投薬・切除 治療不可(美容目的ではなく医療目的が必要)
アトピー・湿疹 内服・外用薬で炎症コントロール 治療不可(美容目的外)

ポイント

  • 炎症・病気・感染症は皮膚科が優先

  • 美容目的・見た目改善は美容皮膚科が適切

  • ニキビの場合、まず皮膚科で炎症を治療 → 美容皮膚科で跡や肌質改善 という流れが理想


4. 受診の判断フロー

  1. 症状の原因が病気か美容かを判断

    • 赤く腫れている、かゆみ・痛みがある → 皮膚科

    • 肌の色むらや小ジワ・毛穴の悩み → 美容皮膚科

  2. 必要に応じて両方の受診も可能

    • 皮膚科で炎症治療後、美容皮膚科で肌質改善や跡の治療

  3. 費用・保険の確認

    • 皮膚科は保険適用、美容皮膚科は自費(自由診療)


まとめ

美容皮膚科と皮膚科の境界線は、病気や炎症の治療か、見た目改善かで分かれます。

  • 炎症や感染症は皮膚科で安全に治療

  • シミ・しわ・ニキビ跡など美容目的は美容皮膚科で施術

症状によっては両方の受診を組み合わせることで、安全かつ効果的に肌の健康と美しさを両立できます。まずは自分の肌の悩みがどちらに分類されるかを整理することが、最適な治療選びの第一歩です。