スペインの旧称「イスパニア」と「西班」の由来|ザビエルが伝えた時代から現代までの呼び名の変遷


現在、私たちは当たり前のように「スペイン」と呼んでいますが、歴史の教科書や古い文学作品の中では「イスパニア」や「エスパニア」、あるいは漢字で「西班」と記されているのを目にすることがあります。

かつて大航海時代に海を越え、日本にキリスト教や鉄砲とともにやってきた人々の故郷は、当時の日本人にはどのように響き、どのように記録されたのでしょうか。特にフランシスコ・ザビエルが来日した16世紀から、現代に至るまでの呼び名の移り変わりを紐読くと、日本とスペインの深い交流の歴史が見えてきます。

この記事では、スペインの旧称である「イスパニア」の語源から、難読漢字として知られる「西班」の由来、そして呼び名が変化していった背景を詳しく解説します。


1. 「イスパニア」の語源はどこから来たのか?

「イスパニア(Hispania)」という言葉は、スペインという国名の最も古い形の一つです。そのルーツは古代ローマ時代まで遡ります。

古代ローマが名付けた「ヒスパニア」

ローマ帝国がイベリア半島を支配していた時代、この地はラテン語で**「ヒスパニア(Hispania)」**と呼ばれていました。これが、後のスペイン語での自国名「エスパーニャ(España)」や、英語の「スペイン(Spain)」の語源となりました。

ザビエルの時代に伝わった響き

1549年、イエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸した際、彼らがもたらした言葉はラテン語や当時の古いスペイン語に近いものでした。そのため、戦国時代から江戸時代にかけての日本では、彼らの国を「イスパニア」や「イスパニヤ」と呼ぶのが一般的だったのです。当時の古文書には「いすぱにや」と平仮名で記された例も多く残っています。


2. なぜ「西班」と書くのか?漢字表記の謎

スペインを漢字で表すと「西班牙」と書き、略して「西」や「西班」と表記されることがあります。一見すると、スペインの音とは結びつきにくいこの漢字には、中国を経由した特有の事情がありました。

中国(清)での当て字が由来

江戸時代、日本は海外の情報を主に中国(清)の書物から得ていました。当時の中国では、外国名を漢字の音で無理やり当てはめており、「España(エスパーニャ)」を**「西班牙」**と表記していました。

これを当時の中国語の発音(シーバンヤーに近い音)で読むと、元の国名に近い響きになります。

日本での定着

日本に入ってきたこの漢字表記が、明治時代以降の公文書などで広く使われるようになりました。

  • 「西」: 略称として用いられ、現在でも「日西(日本とスペイン)」といった表現に使われます。

  • 「西班」: 主に「西班牙」の前半二文字を抜き出したもので、古い文献や新聞などで見かけることがあります。


3. 「イスパニア」から「スペイン」へ。いつ呼び名が変わった?

長らく「イスパニア」や「エスパーニャ」に近い呼び名が主流だった日本において、現在の「スペイン」という呼び方が定着したのは、それほど古いことではありません。

英語圏の影響が強まった明治以降

明治維新を経て、日本はイギリスやアメリカとの交流が急速に拡大しました。これに伴い、国名の呼称も英語に基づいたものへとシフトしていきます。

  • ドイツ: ドイッチュラント → ドイツ

  • イタリア: イタリヤ → イタリア

  • スペイン: イスパニア → スペイン

英語の「Spain(スペイン)」という発音が教育やメディアを通じて広まったことで、大正から昭和初期にかけて、かつての「イスパニア」という呼び名は次第に姿を消していきました。


4. 今も残る「イスパニア」の面影

現代では日常会話で「イスパニア」と言うことは少なくなりましたが、特定の分野では今もその名残を感じることができます。

  • 志摩スペイン村「パルケエスパーニャ」: 三重県にあるテーマパーク名には、スペイン語の自国名がそのまま使われています。

  • イスパニア語: スペイン語のことを学術的な文脈や古い世代では「イスパニア語」と呼ぶことがあります。

  • 建築・美術: 「イスパニア様式」など、歴史的なスタイルを指す言葉として生き続けています。


5. まとめ:呼び名の変遷は交流の歴史そのもの

「イスパニア」から「西班」、そして現在の「スペイン」へ。呼び名が変わっていった背景には、その時々の日本がどの国から影響を受けていたのかという歴史の縮図が隠されています。

ザビエルが伝えた情熱的な響きが、中国での漢字表記を経て、現代の英語的な呼称に落ち着くまでのプロセスを知ることで、スペインという国がより身近に感じられるのではないでしょうか。

次に「日西関係」という言葉を見かけたり、古地図で「いすぱにや」の文字を見つけたりしたときは、ぜひその背景にある長い時間の流れに思いを馳せてみてください。

スペインの歴史や文化について興味が湧いた方は、彼らが日本にもたらした南蛮文化の遺産をさらに詳しく調べてみるのも面白いかもしれません。


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