警察から呼び出しの電話が来たら?逮捕されない「在宅事件」の基準と出頭時の注意点
「警察ですが、少しお話を聞きたいので署まで来られますか?」
ある日突然、警察からこのような電話がかかってきたら、誰しもがパニックに陥ってしまうはずです。「そのまま逮捕されて帰れないのでは?」「家族や職場に知られたらどうしよう」と不安が募るのも無理はありません。
しかし、電話で呼び出しを受けている段階では、必ずしも即座に逮捕されるわけではありません。むしろ、そのまま「在宅事件」として手続きが進む可能性も十分にあります。
この記事では、警察から呼び出しを受けた際の正しい対処法や、逮捕を回避するための基準、そして出頭時に気をつけるべきポイントを詳しく解説します。
1. なぜ「逮捕」ではなく「呼び出し」なのか?
警察が事件の捜査を行う際、すべての容疑者を逮捕するわけではありません。日本の刑事手続きには、身柄を拘束する「身柄事件」と、拘束しない「在宅事件」の2種類が存在します。
逮捕(身柄事件)の目的
逮捕は罰を与えるために行うものではなく、あくまで**「証拠隠滅」と「逃亡」を防ぐための手段**です。そのため、これらのおそれがないと判断されれば、警察は無理に逮捕をする必要がないのです。
在宅事件(任意捜査)とは
自宅にいたまま捜査を受ける形式を指します。警察からの呼び出しに応じて出頭し、取り調べが終わればその日は帰宅できます。現在、刑事事件の約7割近くがこの「在宅事件」として処理されています。
2. 逮捕されない「在宅事件」になるための基準
警察が「この人は逮捕しなくても大丈夫だ」と判断する基準には、主に以下の4つのポイントがあります。
素直に呼び出しに応じている: 警察からの連絡を無視せず、指定された日時に出頭する姿勢は「逃亡の恐れなし」と判断される大きな加点要素です。
身元がはっきりしている: 定まった住所があり、定職に就いている、または家族と同居している場合、逃亡のリスクは低いとみなされます。
罪を認めて反省している: 犯行の事実を認め、証拠を隠す意思がないことを示すことで「証拠隠滅の恐れなし」と判断されやすくなります。
事件の内容が軽微、または初犯である: 万引きや比較的軽い交通違反、軽微な暴行などは、在宅事件として扱われる傾向が強いです。
3. 警察に出頭する際の「5つの注意点」
呼び出しに応じて警察署へ行く際、その場の対応一つでその後の展開(逮捕されるか、帰宅できるか)が変わることもあります。以下の点に注意してください。
① 遅刻や無断欠席は厳禁
もし指定された日時にどうしても都合がつかない場合は、必ず事前に連絡し、理由を説明して日程を調整してもらいましょう。無断で欠席すると「逃亡の恐れあり」と判断され、逮捕状を取られるきっかけになりかねません。
② 持ち物の整理
警察署では所持品検査が行われることがあります。事件に関係するものはもちろん、不必要な多額の現金や、ナイフなどの危険物は持ち込まないようにしましょう。また、念のため身分証明書と印鑑(朱肉を使うもの)を持参しておくと手続きがスムーズです。
③ 供述調書の確認は慎重に
取り調べの内容は「供述調書」にまとめられます。最後に内容の確認を求められますが、自分の言ったことと違う部分や、ニュアンスが異なる部分があれば、必ず訂正を求めてください。 一度署名・押印してしまうと、後から「本当は違った」と覆すのは非常に困難です。
④ 感情的にならない
警察官に対して威圧的な態度をとったり、嘘をついたりすることは逆効果です。冷静に、事実関係を淡々と話すことが「誠実な対応」として評価されます。
⑤ 弁護士に事前相談しておく
出頭する前に、弁護士から「どのような取り調べが行われるか」「何を話し、何を話すべきでないか」のアドバイスを受けておくだけで、精神的な余裕が全く違います。可能であれば、出頭に同行してもらうことも検討しましょう。
4. 呼び出し後の流れと「在宅起訴」の可能性
出頭して取り調べを受けた後、多くの場合、その日はそのまま帰宅が許されます。しかし、それで事件が終わったわけではありません。
書類送検: 警察での捜査が終わると、事件の記録が検察庁へ送られます(これが俗に言う「書類送検」です)。
検察官による取り調べ: 後日、今度は検察庁から呼び出しがあり、検察官による取り調べを受けます。
起訴・不起訴の判断: 検察官が、裁判にかけるべき(起訴)か、そうでないか(不起訴)を判断します。
在宅事件の場合、起訴されてもそのまま自宅で生活を続けながら裁判を受ける「在宅起訴」になるケースが多いです。
5. まとめ:パニックにならず、まずは冷静な対応を
警察からの呼び出しは、誰にとっても恐ろしいものです。しかし、電話が来た時点では「任意(あなたの自由意志)」での協力をお願いされている段階です。
誠実に呼び出しに応じ、しっかりとした準備をして臨むことで、逮捕という最悪の事態を避けることは十分に可能です。もし一人で抱えきれない不安がある場合は、刑事事件に強い弁護士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることを強くお勧めします。
今の冷静な対応が、あなたの将来を守ることにつながります。
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