「はめあい」の種類を徹底解説!隙間が必要な場合と圧入する場合の使い分け
機械設計において、軸と穴を組み合わせる作業を「はめあい(Fit)」と呼びます。単に「入れる」といっても、その目的は「スルスルと動かしたいのか」「絶対に動かないように固定したいのか」によって全く異なります。
この「目的に合わせた組み合わせのルール」を体系化したのが「はめあい公差」です。ここでは、現場でよく使われる3つの分類と、それぞれの使い分けを解説します。
1. はめあいの3つの基本分類
はめあいは、穴と軸の寸法の関係によって、大きく3つに分類されます。
① すきまばめ(Clearance Fit)
常に隙間がある状態です。軸が穴の中を自由に動いたり、回転したりする場合に使われます。
特徴: 組み立てが簡単。
用途: 回転軸、摺動(しゅうどう)部など。
代表例: H7/g6, H7/f7など。
② 中間ばめ(Transition Fit)
条件や製造のバラつきによって、隙間ができることもあれば、わずかに締まり(圧入状態)になることもある状態です。位置決めが重要で、かつ取り外しが必要な場合に使われます。
特徴: 手や木槌で軽く叩いて組み立てる程度。
用途: 位置決めが必要な部品、頻繁に取り外す部品など。
代表例: H7/k6, H7/n6など。
③ しまりばめ(Interference Fit)
常に軸の方が穴より大きく、隙間がゼロ以下の状態です。「圧入(あつにゅう)」や「焼きばめ」を用いて無理やり押し込みます。
特徴: 非常に強力に固定される。分解は困難。
用途: 永久固定したい部品、回転を確実に伝えたい軸など。
代表例: H7/p6, H7/s6など。
2. 隙間が必要か、圧入が必要か?の判断基準
設計において、どの「はめあい」を選ぶべきかは、その部品に「動作」が求められるか、「固定」が求められるかで決まります。
| 判断基準 | 推奨される「はめあい」 | 考え方 |
| 滑らかに回転させたい | すきまばめ | 摩擦を減らすための油膜が必要 |
| 精密な位置決めが必要 | 中間ばめ | ガタつきを最小限に抑える |
| 分解・整備の必要がある | すきまばめ or 中間ばめ | 圧入すると分解時に部品が壊れる |
| 強い衝撃に耐えたい | しまりばめ | 緩みが発生しないように一体化する |
3. 表記の読み方(H7/g6 など)
図面でよく見る「H7/g6」のような表記には、以下のルールがあります。
大文字のアルファベット(H): 「穴」の許容差の種類。
数字(7): 穴の「等級」(数字が小さいほど精度が高い)。
小文字のアルファベット(g): 「軸」の許容差の種類。
数字(6): 軸の「等級」。
基本は「穴基準(H7)」
設計では、穴の加工が一番難しいため、まず穴を「H7」という標準的な等級に固定し、軸のアルファベットを変えることで「すきま」や「しまり」を調整するのが一般的です。
4. 使い分けの注意点:コストと現場の負荷
はめあいを選択する際は、以下の点に注意してください。
高精度はコスト高: 「g6」や「n6」といった等級は、旋盤だけでなく研削盤などでの仕上げが必要です。必要以上に厳しい公差を指示すると、製造コストが跳ね上がります。
組み付けの工夫: しまりばめを採用する場合、常温での圧入が難しいことがあります。その場合は、穴を熱して広げる「焼きばめ」や、軸を冷やして縮める「冷やしばめ」という手法が必要になります。
温度変化の考慮: 機械は運転中に熱を持ちます。軸が熱膨張すると、最初はちょうど良かった隙間が消えて焼き付く(固着する)ことがあるため、熱膨張まで考慮した設計が必要です。
まとめ:はめあいは「動き」と「固定」の調整弁
「すきまばめ」は動きを助け、「しまりばめ」は力を伝えます。「中間ばめ」はそのバランスをとるためのものです。
設計図面でこれらの表記を見たとき、「なぜここにこの公差が指定されているのか?」を考えると、その部品がその機械でどのような役割(回転するのか、それともガッチリ固定されるのか)を担っているのかが見えてきます。
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