会社の登記簿謄本が英語で必要!「Certificate of Registered Matters」の取得と翻訳ガイド
海外企業との取引や外資系銀行での口座開設、あるいは海外進出の準備を進めていると、突然「会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の英訳を出してください」と求められることがあります。
日本語では馴染みのある書類ですが、いざ英語で用意するとなると「正式名称は何?」「自分で翻訳してもいいの?」「アポスティーユって何?」と不安になることも多いはずです。
この記事では、英語での登記簿謄本にあたるCertificate of Registered Mattersの基礎知識から、具体的な取得方法、そして提出時に失敗しないための翻訳の注意点を、専門的な視点を交えつつ分かりやすく解説します。
登記簿謄本の英語名は?「Certificate of Registered Matters」とは
日本の法務局が発行する「履歴事項全部証明書」や「現在事項全部証明書」は、英語では一般的に Certificate of Registered Matters と訳されます。
なぜ複数の呼び方があるのか
提出先の国や機関によっては、別の名称で指定されることもあります。よく使われる表現を整理しておきましょう。
Certificate of Registered Matters: 日本の法務局の公式な英訳。
Certified Copy of the Register: 「登記簿の謄本」という直訳に近い表現。
Certificate of Full Registry Matters: 「履歴事項全部証明書」をより詳細に表現したもの。
Certificate of Good Standing: 欧米諸国でよく使われる「会社が現在有効に存続していることを証明する書類」の呼称。
基本的には「Certificate of Registered Matters」で通じますが、相手方が「Articles of Incorporation(定款)」と混同しているケースもあるため、何を証明したいのか(役員構成なのか、設立日なのか、資本金なのか)を事前に確認するのがスムーズです。
登記簿謄本(英語版)の取得方法
実は、日本の法務局窓口で「英語版の登記簿謄本をください」と言っても、英語で発行してくれるサービスは存在しません。
日本の公的な登記制度は日本語のみで運用されているため、以下の3ステップを踏むのが一般的な流れになります。
1. 日本語の「履歴事項全部証明書」を取得する
まずは、最新の状態が記載された日本語の原本を取得します。法務局の窓口、郵送、または「登記・供託オンライン申請システム」を利用して取り寄せましょう。発行から3ヶ月以内(または6ヶ月以内)のものを求められるのが一般的です。
2. 翻訳文を作成する
取得した日本語の謄本を英語に翻訳します。記載されている全ての項目(商号、本店所在地、役員、目的など)を正確に反映させる必要があります。
3. 公証や認証を受ける(必要に応じて)
海外の行政機関や銀行に提出する場合、単なる翻訳文では受理されないことがあります。「この翻訳は正確である」という公証役場の認証や、外務省のアポスティーユ(Apostille)、または領事認証を求められるケースが多いです。
自分で翻訳して大丈夫?翻訳の注意点とリスク
「英語が得意な社員がいるから、社内で翻訳してもいいのでは?」と考える担当者の方も多いでしょう。しかし、ここにはいくつかの注意点があります。
専門用語の正確性
登記簿謄本には「商号(Trade Name / Corporate Name)」「公告をする方法(Method of Public Notice)」「発行可能株式総数(Total Number of Authorized Shares)」など、特有の法律用語が並びます。これらを誤った英単語で表現してしまうと、法的な効力を疑われたり、審査に落ちたりする原因となります。
形式(レイアウト)の一致
提出先が確認しやすいよう、日本語の原本と同じレイアウトで翻訳文を作成するのがマナーです。表の形式や下線の位置まで合わせることで、原本と翻訳文の照らし合わせが容易になり、信頼性が増します。
自己翻訳の可否
多くの金融機関や官公庁では、「利害関係のない第三者(翻訳会社や専門家)」による翻訳を求めています。会社自身が翻訳したものは、内容を都合よく改ざんしている可能性を否定できないためです。提出先に「Self-translation is acceptable?(自己翻訳は可能ですか?)」と確認しておくことを強くお勧めします。
高い信頼性を確保するための「公証」と「アポスティーユ」
海外取引において最も重要なのが、その書類が「本物である」という証明です。
公証役場での認証
翻訳者が公証役場へ行き、「私は日本語を正確に英語に翻訳しました」という宣誓書(Declaration)に署名し、公証人の認証を受けます。これにより、私文書としての信頼性が担保されます。
アポスティーユ(Apostille)とは
ハーグ条約(認証不要条約)に加盟している国へ提出する場合、外務省でアポスティーユを取得すれば、駐日大使館での領事認証を省略できます。
近年、東京や神奈川、大阪の公証役場では「ワンストップサービス」が導入されており、公証人の認証・法務局長の確認・外務省のアポスティーユを一度の手続きで完了させることが可能です。
翻訳を外部委託する際のポイント
スピードと正確性を重視するなら、専門の翻訳会社へ依頼するのが近道です。依頼時には以下のポイントを確認しましょう。
登記簿謄本の翻訳実績があるか: 法律用語のデータベースを持っている会社を選びましょう。
翻訳証明書(Certificate of Translation)の発行: 翻訳会社の社印が押された証明書を添付してくれるか。
納期とコスト: 通常、2〜3営業日程度で納品されることが多いですが、公証手続きまで含めると1週間程度かかる場合があります。
まとめ
会社の登記簿謄本(Certificate of Registered Matters)の英語版を用意するには、単なる「言葉の置き換え」以上の手続きが必要です。
日本語原本をまず取得する
正確な法律用語を用いて翻訳する
提出先のルールに合わせて公証やアポスティーユを取得する
このプロセスを丁寧に行うことが、海外でのビジネスを円滑に進めるための第一歩となります。相手先が求めているのは「英語になった書類」ではなく、「信頼できる正確な情報」であることを忘れないようにしましょう。
登記手続きは、会社の信用に直結します。もし少しでも不安がある場合は、専門の翻訳サービスや司法書士、弁護士に相談し、万全の体制で書類を準備することをおすすめします。